昔の夏は本当に涼しかったのか?

 2022年、私たちが住む東北南部の梅雨入りは平年よりもやや遅い6月15日。そして、梅雨明けは平年より約1か月も早い6月29日となりました。梅雨の期間は14日間しかなく、6月中の梅雨明けは史上最速だったそうです。

 梅雨明け直後の6月末から7月上旬にかけては全国的に真夏日、猛暑日が続き、今年も暑い夏が始まりました。

 

 さて、私もつい口にしてしまうことがあるのですが、夏になるとこんな言葉を聞くことはないでしょうか?

 

「昔の夏はこんなに暑くなかった、もっと涼しかった」

 

 私が子供の頃、いまから20~25年ほど前のことになりますが、我が家にはエアコンがなく、夏場は扇風機だけで過ごすのが普通でした。暑いと感じることもありましたが、ここ最近の夏のように「夜も眠れない」というほど暑かった記憶はありません。

 そこで、今回は「昔の夏は本当に涼しかったのか?」を、気象庁のデータを元に少し考えてみたいと思います。

 

白河市の気温は上昇している?

 まずは気象庁のHPに残っている約80年間の白河市の8月の平均気温、平均最高気温、平均最低気温をグラフで見てみましょう。

 青い線が平均気温、赤い線が最高気温、黄色い線が最低気温になっています。

 紫色の線は平均気温の推移になっていますが、観測開始の1940年には23℃付近にある線が2021年には24℃を超えています。このことから、約80年間の間に白河市の8月の平均気温は約1℃上昇していることが分かります。

 気象庁の発表では「日本の平均気温は100年あたり1.26℃の割合で上昇している」と公表されています。白河市でも同じように平均気温が上昇していることが分かります。

 さて、平均気温が上昇しているのは分かりました。しかし、約1℃の気温上昇でそれほど暑さが厳しくなったと感じるのでしょうか?

 

最高気温はどれ位なの?

 次は白河市の8月の最高気温を調べてみることにしました。

 先ほどと同じように折れ線グラフにしてみると、緩い右肩上がりで最高気温が上昇しているのが分かります。ここで注目したいのは、2010年を超えたあたりから猛暑日となる35℃を超える年が増えていくことです。

 そこで次は毎年、真夏日、猛暑日がどのくらい観測されているのかを調べてみることにしました。

 

真夏日、猛暑日が増えている?

 白河市の7、8月の真夏日、猛暑日の日数を集計したものです。

  

 飛びぬけて真夏日が多い年が散見されるなか、2010年以降は毎年のように真夏日が20日以上、そして赤で表している猛暑日を観測する回数が増えてきているのが分かります。

 

まとめ

 今回は「昔の夏は本当に涼しかったのか?」という疑問を、3つのグラフを使って検証してみました。

 地球温暖化と言われている通り、白河市の平均気温も約1℃上昇していました。

 そして、私が子供の頃にはほとんど聞くことがなかった35℃以上の猛暑日の観測が増え、真夏日も年間20日間以上になる年が増えています。

 また集計していて気が付いた点として、猛暑日とならずとも、猛暑日一歩手前という日も多く、更に真夏日、猛暑日が数日間続く傾向が強いと感じました。2010年以降は暑さのピークが7月上旬、遅くとも7月中旬には訪れ、それがお盆を過ぎるまで複数回訪れる傾向も見て取れました。

 つまり、気温の上昇に加え、昔と比べて暑さのピークが早く、複数回訪れ、そして長期化することで、暑いと感じるのではないかと思っています。

 そのため、ここ最近の夏と比べて「昔の夏は涼しかった」と感じるのではないかと思います。

 

 さて、今回は「昔の夏は本当に涼しかったのか?」という疑問について簡単に調べてみました。

 子供たちの自由研究にも応用できると思いますし、自分で調べてみると見えてくる点もあると思います。そして何より、地球温暖化という世界的な問題を少しでも考える機会になれば幸いです。

 

参考資料:気象庁HP 過去の気象データ

 ※気象庁のデータは公式なものですが、この記事は私の主観によるものです。すべてが正しいというわけではありませんので注意してください。